月岡芳年
怪 SR 妖力36妖術:無惨絵巻
【月岡芳年】つきおかよしとし
幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師。残虐な題材を
取り扱った『無惨絵』と呼ばれる分野で名を馳せ、『血
まみれ芳年』の二つ名を持つ。
生前、死体を写生して絵の糧としていたために死霊に取
り付かれ、妖界へと誘われた。妖界ならではの美しい赤
を追求する、生粋の芸術家。
※lllustrator:鈴木次郎
「死体に遭っては死体を描き、火事に遭っては
炎を描き、病に遭っては地獄を描こう。
そして妖怪に遭ったなら、そう、全てを描いて
魅せよう!かの者のおぞましきを、残虐を、か
の者を生んだ人間の狂気を、醜さを!
サア、君をもっと僕に見せておくれ。傑作とい
うのは観察から生まれるのだから。」
「人の自然な輪廻を外れ、妖界の一員となった
ことに後悔などないよ。ここには僕の心を躍ら
せる全てのものがあるからね。
なんと言っても素晴らしいのはこの赤だ!裂い
たばかりの首から掬い取ったような美しさ。僕
に惨劇を描かせる、素晴らしい画材とな
る ......。
嗚呼、こうしてはいられない。描きたいものな
らいくらでもあるんだ。さあ、僕にもっと画紙
をくれ!」
ている
「......さあ、完成だ。これが僕の傑作だよ。僕
自身が絵に入り込むことで、この絵は完成する
んだ。よく出来ていると思わない?
タイトルはさしずめ、『新説月百姿
き』かな。
......この絵に鮮血の赤はない。けれど僕はこれ
に満足しているよ。何故ならこの世で最も美し
い赤色は、この身の内にあるのだから!
誰もが赤き美の極みたるハラワタを抱いて生き
狂ひ絵描......そう思えば僕は、この世界を愛さず
にはいられない。死霊たちが駆り立てるまま
に、描かずにはいられないんだ!」

あやかし百