木心坊(白椿)
化 HR 妖力25妖術:おいしい和え物
【木心坊(白椿)】きしんぼう しろつばき
熊本県に伝わる伝承。椿の木を切って、すりこ木に使う
と、木心坊という妖怪になるという。椿は花の落ちる姿
が首が落ちる様子を連想させるためか、怪談が多く伝え
られている。
「椿の木は、材白色にして精緻堅重。けれども
それを料理のすりこ木に使ってしまうと、私の
ような妖怪が生まれます。
だって椿は美しく、花もこんなに豪奢なのです
よ?もっと大事に扱ってほしいのに、こんな料
理の消耗品にされるだなんて ......。あまりに
もったいないというものでしょう?」
「ああっ、すりこ木としての日々を思うと、今
も涙が出るのです。毎日ゴマや味噌にまみれ、
身をすり減らして ......あまつさえ棍棒代わりに
振り回されるなんて !!
切り倒されて木材とされる運命から逃れられな
かったとしても、せめて愛らしい娘さんに使わ
れる櫛になりたかった...... 。」
「美しくありたかった私は、薄暗い台所も、狭
い庭も飛び出して、諸国をさまよう妖怪となり
ました。そのことを後悔などしていませんわ。
諸国には、郷里の山や台所では見られなかっ
た、美しい妖怪が沢山いるんですもの!
私は美しい花として、美しいものだけを見て暮
らしたいのです。
......でもお頭さまがお望みなら、諸国のおいし
い和え物についても、ちょっとだけならお聞か
せしますわ。ちょっとだけですよ?」

あやかし百