老人火
怪 SR 妖力36妖術:天狗の御燈
【老人火】ろうじんび
『絵本百物語』に登場する怪火。別名、天狗の御燈。雨
の山奥に老人と共に現れる。この火は水をかけても消え
ることはないが、獣の皮ではたくと消えるという。
「雨にも負けず燃え盛る、この炎が気になるか
い?
ふふ、これは幻術でも魔法でも、怪火にありが
ちな燃やさぬ炎でもないのさ。そんなに疑うん
なら近づいて熱を確かめてごらん。......ほら、
確かにこの火は本物だろう?
水では消えず、獣の皮でのみ消える不思議の
炎。それがこの私、老人火さ。君のような見所
のある若者に、興味を持ってもらえたのなら嬉
しいよ。」
「この火は水では消えないけれど、獣の皮では
たけば消えるんだ。けれど、下手に知恵のある
ものほど、自分の価値観にとらわれてしまうも
のでね、何度試しても消えないと分かっている
のに、水をかけるんだ。無我夢中でね。そし
て、パニックになって逃げ出す。
少し考えれば、何かの怪異だと気がついて対処
もとれるはずなんだけれど ……. 。
この世では何が起こるかわからない。目に見え
るものや先入観にとらわれず、臨機応変に対応
するのが大切だね。」
「頭領、君はとても才能にあふれる若者だ。
その力は強くてまぶしくて …… だけど、それ故
にどこか危ういところがある。
だからこそ、私は君についていきたいと思った
んだろうね。灯ったばかりの火が悪意ある誰か
の手で消されないように見守りたいと思ったん
だ。
私は老いた身ではあるけれど、まだまだ若い者
たちには負けないつもりだよ。
天狗の御燈の異名を持つこの力、君と一緒に試
そうじゃないか。」

あやかし百