蜃気楼
怪 SR 妖力35妖術:貝の見る夢
【蜃気楼】しんきろう
海の上に、城や山林の幻が浮かび上がる大気光学現象。
大蛤(蜃)の吹き出す気が、楼閣の形をとるのだと考え
られていた。鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』には、巨大な蛤
が貝の隙間から気を吹き出す様子が描かれている。
「私、蜃気楼と申します。幻を生み出す、夢見
の蛤なのです。
私は海に浮かべます。はるかな国の水晶の楼
閣。夢の中に見た桃源郷。誰かの胸にしまいこ
まれた遠い憧れまでも。
それらは全てこの貝の中に詰まっています。ほ
んの少し口を開けてみれば、たちまちあふれ出
す幻惑のまぼろし......あなたにもお見せいたし
ますね。」
「夢は虹色。影は白色。遠くに見ることは出来
ても、触れることはけして出来ないわ。固く閉
ざされた貝の口に秘められたのは、そんな不思
議の楼閣なのです。
お頭様はいかがですか?もし、その幻に、触れ
ることが出来るとしたら......夢がかなった幻
を、生涯見続けていられるのなら。
そんなことが蜃気楼に出来るのかって?ふふ、
どうでしょう。ただの戯言かもしれません
よ。」
「お頭様ならば、夢に囚われてしまう事はなさ
そうですね。ならば安心してお見せしましょ
う。貝の見せる幻を、一番近くの特等席で!
ご覧ください、こちらの船は千年の昔、まだ見
ぬ文化を求めて海を旅した帆船、こちらに見え
るは今は無き、天まで届いた輝く楼閣......
めくるめく貝の記憶を海に浮かべて、あなたの
行く道を彩りましょう!」

あやかし百